1. 目次
  2. 雅楽とは

 
雅楽とは 楽器 国風の歌舞 管絃舞楽(左) 舞楽(右)

雅楽とは


雅楽は、我が国で最も古い伝統を持つ音楽で、中国や朝鮮等を経由して我が国に入ってきた外来音楽と我が国独自の音楽が融和し、時代の変遷を経て、現在伝えられている歌舞です。
宮内庁楽部 元首席楽長 ・ 大阪楽所 元音楽監督
東儀 兼彦

歴史と伝承

 雅楽は、中国や朝鮮等を経由して我が国に入ってきた外来音楽と我が国独自の音楽が融和し、時代の変遷を経て、現在伝えられている歌舞です。
 渡来した外来の楽舞は種類も多く、また楽器も種々雑多でしたが、仁明天皇(833〜850)の頃から年月をかけて整理され、従来の渡来してきた国の楽舞を、左方(さほう)は唐楽(とうがく)、右方(うほう)は高麗楽(こまがく)に分けました。そして、左方は唐・林邑(りんゆう)楽、右方は高麗(こま)・百濟(くだら)・渤海(ぼっかい)楽としました。
 平安中期から外来音楽の日本化が進み、新作の楽や舞が新たに作られ、歌物の催馬楽(さいばら)や朗詠(ろうえい)が誕生したのもこの頃です。貴族の教養科目として、詩歌管絃が重要視され、式典等では特定の公卿が琵琶・箏・歌物を受け持ちました。
 装束については、左舞は赤、右舞は緑という舞装束の区別を伝えていますが、寛治七年(1093)の踏歌節會(とうかのせちえ)の舞楽に、萬歳楽(まんざいらく)・延喜楽(えんぎらく)・賀殿(かてん)・地久(ちきゅう)が行われ、左右各四人出ましたが、「而右舞人之中左舞人乍着赤装束立加其列、被尋問處、申云、左右兼舞人、俄不能改装束勤仕之由者、奇恠第一也」とあります。この頃には左右舞人の装束の色が決まっていたようです。
 その後、応仁の乱で都の生活文化が壊滅した為宮廷の楽人も離散してしまい、雅楽衰退の時代でしたが、安土桃山時代から江戸時代にかけて復興しました。
 明治時代になり皇居が江戸城に定められて、明治三年(1870)に太政官に雅楽局が設けられ、雅楽をつかさどる事になりました。東京の雅楽局には三方(さんぽう)楽人(京都・春日・天王寺)が呼び寄せられ、各楽家(がっけ)・各系統の伝承を整理統合し「明治撰定譜」を定めて今日に至っています。
宮内庁楽部 元首席楽長 ・ 大阪楽所 元音楽監督
東儀 兼彦

種類

雅楽を分類すると、

  1. 我が国古来の歌舞
  2. 平安時代に発生した歌
  3. 外来の音楽(中国系の唐楽・朝鮮系の高麗楽)
に分けられます。


1. 古代祭祀の歌舞(国風の歌舞)

国風(くにぶり)の歌舞では、曲により違いますが和琴(わごん)・笏拍子(しゃくびょうし)・笛・篳篥(ひちりき)等の楽器が使用される素朴な感じですが、時代を経て様式化されて伝えられています。

● 久米歌(くめうた)
起源は、神武天皇が大和の宇陀の兄猾を征伐した時に、久米部が歌った歌といわれています。仁孝天皇の即位大礼に再興され、以後天皇の即位礼に演奏されています。
● 東 遊(あずまあそび)
東国地方の風俗歌で、貞観三年東大寺大仏供養で演奏された「東舞」 が東遊の事と考えられます。石清水・春日・賀茂・祇園等の諸神社や宮中の儀式で演奏されていましたが室町時代に中絶、元禄七年(1694)に賀茂祭で再興されました。現在は宮中の他、氷川・賀茂・春日等で行われています。
● 大直日歌(おおなおびうた)
宮中の鎮魂祭で、倭歌の前に歌われる歌です。
● 倭 歌(やまとうた)
貞観三年東大寺大仏供養で東舞と共に演奏された記録があります。 現在宮中の鎮魂祭で奏されます。 この曲は舞を伴っています。
● 大 歌(おおうた)
現在、天皇の即位礼の行事の祝宴に奏されています。 大歌によって舞われる「五節舞(ごせちのまい)」は、唯一の女性の舞です。
● 神楽歌(かぐらうた)
歌舞による神事で、全体は、第一部・神おろし、第二部・神遊び、第三部・神おくり、の三部により構成されています。第一部の早韓神(はやからかみ)と第三部の其駒(そのこま)で人長(にんちょう)が舞を舞います。

2. 平安時代に発生した歌

古くは御遊等で管絃演奏の中で歌われた歌で、催馬楽では、笙(しょう)・篳篥・笛各一管と琵琶・箏が付け、拍子(独唱者)が笏拍子を撃ち、朗詠では、笙・篳篥・笛各一管が付けます。

● 催馬楽(さいばら)
平安時代に風俗歌や民謡等の歌詞に雅楽風の旋律を付けたものです。宇多天皇の皇子敦実親王(あつみしんのう)を祖とする源家流と源博雅を祖とする藤家流の二派ありましたが、現在は明治撰定譜で統一されています。
● 朗 詠(ろうえい)
漢詩に節を付けたもので、催馬楽と同様に源家流と藤家流の二派ありました。朗詠も平安時代には盛んに奏されていましたが、徐々に衰微してしまいました。明治に入って明治撰定譜を作り、それが現在に伝えられています。

3. 管絃と舞楽

● 管 絃(かんげん)
詩歌管絃といえば、平安貴族の教養科目でした。管絃とは舞を伴わない楽曲のみの演奏形態で、歌物である「催馬楽」や「朗詠」も含まれます。使用楽器は笙・篳篥・笛・琵琶・箏・鞨皷(かっこ)・太皷・鉦皷(しょうこ)です.。但し、催馬楽を演奏するときは、笏拍子が加わります。
● 舞 楽(ぶがく)
舞楽は、唐楽系統の左方舞と高麗楽系統の右方舞に分けられます。舞姿も、文舞(ぶんのまい)・武舞(ぶのまい)・走舞(はしりまい)の三種類に分けられます。平安時代に我が国で作曲作舞された曲も含まれています。 唐楽系統(左方)で使用する楽器は、笙・篳篥・龍笛(りゅうてき)・鞨皷・太皷・鉦皷で、着用する装束は主として赤系統です。 高麗楽系統(右方)で使用する楽器は、高麗笛(こまぶえ)・篳篥・三ノ皷(さんのつづみ)・太皷・鉦皷で、着用する装束は、一人舞や別装束(べつしょうぞく)以外は主として緑系統です。
宮内庁楽部 元首席楽長 ・ 大阪楽所 元音楽監督
東儀 兼彦